2011-05-03

12通目:ミツバチのキス

木々の緑が鮮やかで、暑すぎず寒くもなく、晴れた日の清々しいこと。
5月は一年で最も好きな季節です。
この季節をすぎるとじとじとした梅雨に入り、それが過ぎれば汗だくだくの夏が来る…。
どっか一年中5月の土地はないもんか。
常春の国マリネラみたいに。

今日は別にパタリロの事じゃなく(好きだけど!)他のマンガの話題。
伊図透さんの「ミツバチのキス」を読んだ感想。

主人公の草野慧は人に触れるだけで相手の「全て」が見えてしまう特殊能力の持ち主。
様々な組織や機関が彼女の能力を利用しようとし、接近するがその能力ゆえに本人は誰にも増して孤独であり、人に「触れる」ことができない。
利用される事、そして他人の事が見えてもそれが良い結果を生まない事に嫌気がさした彼女は自身の能力を知る人のいないところへ逃げて暮らそうと試みるが、それはまた、別の苦しさを背負う事になる。

という結構ずっしりした内容のマンガでしたね、こりゃ。

人がそれぞれ内に抱えているものがすべて「見える」っていうその設定が、超へビー。
よく「人の気持ちを察しろ」とか「相手の身になって」とか聞きますけど
全部わかったらそりゃーイヤだろうな。
そんでまた主人公の女の子が性格自体は至って普通の若い女の子ってところが
また苦悩を深めているという。
これがただの諦観に満ちたさすらいのおっさんとかだったらまた違うお話になるんでしょうが。
二巻目の終わりが救いのある感じだったのですが、果たして幸せは訪れるんでしょうか。
そして駿河さんは「珈琲時間」の山崎さんと同じポジションだと思う。



2011-04-18

11通目:鮪に鰯

3月11日。

あまりの出来事に、しばらく何も言えなくなってしまいました。
募金もしてるのですが、多くの人が失ったものの大きさを思うとそれがどれだけの助けになるっていうんだ、何もできない者はよけいな事言わない方がいい、という気持ちに心が覆われてしまいました。

ありきたりの言葉だけど、どうか一日も早く避難している方々が落ち着いた暮らしに戻れますように、と祈るばかりです。


地震と津波の被害の大きさもさることながら、今回の震災の大きな懸念事項は原発の放射能漏れによる周辺地域の汚染でしょう。
福島第一原発は事故発生から一ヶ月以上経っているのに、いまだ収束したとはいえない状況です。

正直、今まであまり原発問題に関心がありませんでした。
何となく、チェルノブイリの事故のイメージで放射能が出るから怖いよね
廃棄物とかどうするんだろうなあ…くらいにしか思っていなかった。
ですが今回の震災により、原子力発電というものはどういう仕組みなのか
なぜそれが推進されてきたのか、という事を知るきっかけができました。

とりあえず、原発について知ろうと思い、最初に手に取ったのが
「原発と日本の未来」という本でした。
63ページしかないですけど、原子力発電を取り巻く問題について基本的な事を知るのに大変良い入門書です。
私のような全くの素人が読んでも理解出来るほどわかりやすく書かれています。
今後は、代替エネルギーについての本を読んでいく予定。

とりあえず、できる事からやっていきたい。
ほっといても誰かが片付けてくれる事じゃないんだよなあ、これ。



2011-02-26

10通目:夢みごこち

最近、暖かくなってきた。
昼間はちょっと暑く感じるくらい。

春眠暁を覚えずというけれど、うっかりうとうとしそうな
まさしくそんな暖かさ。

今日はそんな小春日和にうってつけの一冊
フジモトマサルさんの「夢みごこち」を購入。

絵がかわいい…。

フジモトマサルさんの描く動物たちはかわいい。
でもストーリーや台詞からブラックさを感じる。
ぴりっと、とかそんなレベルじゃねえブラックブラックガムもびっくりのブラックさだよ。

物語の最後で「ああ、夢だったんだ…。」で終わるのを「夢オチ」っていうけど
このマンガはひとつひとつのストーリーが「夢オチ」でつながっていて
夢から覚めたのにそれもまた別の誰かの夢でっていうマトリョーシカ構造。
しかも夢の世界は自由なはずなのに「夢警察」なるものが取り締まりに来るという。

安心と不安が同居していて不条理な出来事にもなんだか仕方ないなそういうものかと納得してしまうし話の筋はどんどんあらぬ方向へ流れ続ける。

まさしく夢そのもの。

まさしく悪夢そのもの。




2011-02-18

9通目:海帰線

昨年亡くなった、今敏さんの長編マンガ「海帰線」が新装版になって発売されていました。
以前から読みたいと思っていたので迷わず購入。

海人伝説のある町の神社には「海人の卵」が祀られており、神主の家系は代々卵を世話する役目を引き継いでる。
当代の神主は町の発展のため海辺のリゾート開発を推進する建設会社に協力し、海人伝説を町起こしに利用しようとするが一部の住民や息子の反発を受け、やがて卵を巡り不思議な事が起り始める…という海洋ファンタジーです。

海人という「稀人」と約束を交わした神主の家系における祖父・父・息子の三代の見解の違いと、開発か地元の人間が長らく続けてきた営みの形かという対立が絡みあう中、超現実的な出来事が起るのですが、とても静かに始まり静かに終わって行きます。
夏になったらまた読み返したい。
装丁は旧版の方が良かったので、そっちを手に入れれば良かったかなあと思ったり。


今敏さんはマンガより「東京ゴッドファーザーズ」や「パプリカ」といったアニメの方が有名ですね。
特に「東京ゴッドファーザーズ」は名作で、クリスマスにTV放映すればいいのにって思うんだけどな。ちょっとTVでやるには長過ぎるんだろうか。