2010-11-25

6通目:ローマを見ずには

ローマは一日にして成らず

すべての道はローマに通じる

古代の帝国ローマにまつわることわざはたくさんありますね。

塩野七海さんの「ローマ人の物語」の文庫版を手にとったのは何年前だったでしょうか。
ローマ帝国史がこんなに面白いとは…と夢中になって読み始め、気づけばローマ帝国関連の本なら何でも読んでみたいと思うくらいローマ史に魅了されてしまいました。

塩野さんのこの歴史小説(本人いわく歴史評伝。)は非常に事細かにローマ人の生活や文化が伺い知る事ができて、なおかつ文章も読みやすく、そのうえドラマチックな歴史上の出来事や人物がまるで映画でも見ているかのように鮮やかに描き出されているのです。

現在、文庫版では40巻まで刊行されており、
先日39〜40巻までの章を読み終えたところです。
サブタイトルは「キリストの勝利」。

時代は帝国後期にあたる四世紀で、いかにして多神教世界であったローマが一神教であるキリスト教を国教とするに至ったかがテーマになっています。
塩野さん自身が別の著作で一神教であるキリスト教は嫌い、と書いてらっしゃいましたが私自身は特に好きでも嫌いでもありません。
ただ、徐々に教会が権力を持ち始め、聖職者の権威が高まって行くにつれ
キリスト教徒でなければ人並みの権利を享受できないといった風潮になって行くさまは、読んでいてじわじわと嫌な気分になります。

後世に生きる私たちは、その後のヨーロッパが「暗黒の」といわれる中世に時代が移って行く事を知っています。
現在起きている出来事を歴史上の出来事に置き換えるのは楽しいですが、地理も時代も違えば物事が同じように進むなんてことは無いでしょう。
それでも、歴史から「学ぶ」ことはできると思いたいものですね。
今、自分が生きているこの時代が「暗黒の」時代にならないように。